大切なお仏壇を長持ちさせたい! 修理や修復のポイントは?

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大切なお仏壇を長持ちさせたい! 修理や修復のポイントは?

職人ブログ

2023/01/26 大切なお仏壇を長持ちさせたい! 修理や修復のポイントは?

 

大切なお仏壇を長持ちさせたい! 修理や修復のポイントは?

毎日手を合わせる大切なお仏壇ですが、月日の経過とともに線香の煤(スス)やホコリによる汚れ、塗装の色褪せや金具が外れたり、細かな傷も目立ったりしてきます。

気になるけれど修理ができるものなのか、そもそもわからないという方は多いのではないでしょうか。

お仏壇には造り込まれた内陣や透かし彫り、金箔や漆など、専門的な技術が多く含まれております。

修理しようとすると返って傷めてしまうこともありますので、お仏壇は専門業者へ修理に出すことがおすすめです。

この記事では、修理の依頼方法やそのタイミングについてご紹介しています。

1.仏壇の種類

唐木仏壇(からきぶつだん)

黒檀や紫檀、鉄刀木(たがやさん)、桑、桜といった重くて耐久性のある材質を使い、木目を生かして作られる仏壇のことです。近年、木目を印刷したものやシートを貼ったものなども含めて唐木仏壇と呼びます。

中国が唐と呼ばれていた頃、外国産の木材を用いて作られたことがその名の由来です。

金仏壇(きんぶつだん)

全体に黒い漆塗りが施され、内側に金箔が張ってある仏壇で、塗り仏壇とも呼ばれます。

浄土真宗の家に金仏壇があることが多いため、金仏壇は浄土真宗用だと思われていますが、多宗派でも金仏壇が使われます。

上置き仏壇

唐木仏壇や金仏壇から台を省いて小振りにしたものが多く、通常床にそのまま置くことはせず、専用台や家具の上に置ける仏壇です。

2.お仏壇の修復

お仏壇を綺麗に長持ちさせる方法は、次の3つで検討されると良いでしょう。

  • 〇 部分修理・・・扉の破損など、部分的な修理
  • 〇 洗浄・クリーニング・・・完全修復の1/4~1/5の費用で艶が蘇ります
  • 〇 完全修復(お洗濯)・・・所謂オーバーホール、全面修復でほぼ新品となりますが、費用と時間はそれなりに掛かります

〇 部分修理

  • ・扉の窓枠の外れ
  • ・障子戸の紗(障子)破れ
  • ・掃除による組子や欄干の折れ
  • ・蝶番や留めている木ねじの錆び

等々、上げればきりがないですが、毎日お参りすると気になります。まして、お掃除していて壊してしまったら、余計に気になりますね。

傷みやすい事例で一番分かりやすいのが、膳引きと呼ばれる部分。お水やお供えを置く為に、手前に引き出して使いますが、お水がこぼれたり花器の水滴が垂れたり、火のついた線香などを落とした焦げ跡などです。

こうした破損した箇所の修理です。

〇 洗浄・クリーニング

従来、お仏壇の修復は、次にご説明する完全修復だけでしたが、高額な費用と時間が掛かるのと、主に金仏壇向けの方法でした。また、唐木仏壇向きではないこともあって考えられた方法です。

金仏壇でも唐木仏壇でも解体せずに、それぞれ専用の溶剤で汚れを洗い流し、専用の溶剤などで艶を取り戻します。工期も完全修復が3か月以上掛かるのに対して、施工内容や範囲にもよりますが3日~7日程度で終わりますので安価です。特に金仏壇の金箔は触る事が出来ないので、煤(スス)汚れを溶剤で洗い流して、元の輝きを取り戻します。

また、漆の状態によっては、磨きで十分綺麗になります。

ただし、金仏壇の場合、金箔の状態が洗えるか張り直しになるか。漆の状態が磨きで十分か塗替えが必要かの診断は、職人レベルの判断になります。

〇 完全修復(お洗濯)

全体を分解してまる洗いをします。その際、破損や不具合があれば部材を交換、あるいは修理した後、唐木仏壇なら塗装を、金仏壇なら漆と金箔を下地から全てやり直して、ほぼ新品に蘇らせます。業者によっては、昔ながらの言い方で全面修復を「お洗濯」という処もあります。

特に古い伝統的な造りの金仏壇は、補修しながら使い続けることを前提としていて、細部の部材まで分解できる造りとなっています。そのため、不具合が出た部材は交換したり、取り外して修理したりするなどして、引き続き子々孫々に伝えていくことができるようになっているのです。

具体的にはどんな作業をするのでしょうか。

まず、各部材を取り外すなどして分解して丸洗いします。その過程で傷などが見つかれば修復を行います。

繊細で複雑なつくりの部分は、ほこりや煤(スス)が溜まりやすいため、丁寧に汚れを洗い流します。

金具は全て外して錆びを落とし、歪みがあれば補正や交換をして再メッキを施します。(費用を抑えるために、金箔や金色塗料を使うこともあります。)
金箔も全て剥がした上で、木地を整えて下地・中塗り・上塗りと漆を塗ります。

塗が乾いたら、金箔を貼ります。蒔絵が書かれていたら、書き直しをすることもあります。

完全修復作業は大変細かい作業の連続であり、全て職人の手作業ですので、かなり時間がかかります。

しかし、これらの作業を経てオーバーホールしたお仏壇は、その輝きはまるで新品同様。きっと、完全修復をお願いしてよかったと誰もが感動することでしょう。

以上、3つの方法ですが、洗浄・クリーニングと部分修理、洗浄・クリーニングと一部完全修復など、組み合わせも検討さると最適な修復が出来るでしょう。

3.修理は仏具店や専門業者に依頼

お仏壇の修理・修復先は、まず購入した仏壇店・仏具店が思い浮かびますが、近年修理・修復を受け付けない仏壇店が多くなりました。仏壇店ではお買い換えを勧められます。自社製造の仏壇を販売している仏壇店なら、社内にお仏壇の職人がいると考えられますので、修理も洗浄も安心してお願いできるでしょう。ただ、対応できるのが自社製品のみで、他社製のお仏壇については受け付けていない、ということもあります。

その場合は、専門業者に依頼するのがおすすめです。

お仏壇の修理・洗浄の専門業者は、お仏壇の販売こそしていませんが、基本的にどのメーカーのお仏壇でも修理対応しています。

いつ製造されたのかわからないくらい代々伝わる年代物のお仏壇でも、安心して任せることができるのがうれしいポイントです。

しかし、こうした専門業者は、会社によって技術や技能に差があり、また料金体系もまちまち。評判や口コミ情報なども調べて、業者を選ぶのがおすすめです。

4.専門業者に依頼するときの流れ

実際にお仏壇の修理を業者に依頼するときの流れを見ていきましょう。

見積りを取り、施工内容が要望に沿ったものなのか、金額と修理にかかる日数を確認する
まずは業者を探し、連絡を取ってお見積りを取るようにしましょう。お仏壇修理の専門業者の探し方は、インターネットはもちろん、お知り合いの方に聞いたりして紹介してもらうなどの方法があります。

インターネットや広告に掲示されている料金表は、参考程度くらいに考えておくとよいでしょう。実際の料金は、お仏壇の大きさや素材、傷み具合などによって変わってきます。

まずは業者に足を運んでもらうなどしてお仏壇の状況を見てもらい、気になる点を伝え、正確なお見積りを出してもらうのがおすすめです。

この時に、もし大事な法要や法事の予定があれば、その要望を伝え相談されると良いでしょう。

傷み具合やお仏壇の種類によっては、修理に日数を要することがありますので、遠慮せず相談される方が業者も助かるはずです。

その他、修理箇所など気になる処を伝えて見積を依頼します。業者によっては、予め予算を決めた上で相談することもできます。その場合は予算内でできるだけお仏壇の状態がよくなるプランを提案してくれるはずです。そこで、要望も聞かず、自社のサービス(施工方法)などを無理強いする様な業者なら、断った方が良いと思います。

多くの専門業者は、お見積りまでは無料で対応してくれます。

金額に納得がいかずに断った場合はもちろん無料で済み、特に問題はありません。

提示された見積りの施工内容が要望に沿ったもので金額に納得できたら、さっそく修理を依頼する流れになります。

出張を依頼できることも

部分修理

修理が1日で済みそうなケースなどでは、ご自宅に出張修理で対応してくれる業者もあります。

お仏壇を自宅に置いたままの状態で修理が行われるのであれば、お仏壇を家から運び出さずに済むので助かりますね。業者によっては出張修理対応がないところもありますので、お見積りを取る段階で確認してみるとよいでしょう。

洗浄・クリーニング

この場合でも、出張対応は可能です。少し割高になるので、預かりとなるのが一般的ですが、その場合、業者がご自宅から仏壇の運び出しに来てくれますので、希望の日時を伝えておきましょう。修理完了後は、同じく業者がご自宅までお仏壇を届けてくれます。 もちろん、お仏壇の設置や仏具の配置まで任せられるので安心です。

完全修復

出張ではほぼ出来ません。ほぼと言ったのは、昔は広いお庭でお仏壇を分解、洗い、乾燥などをしたようです。

今も地方ではあるかもしれませんが、漆や金箔の作業は、漆かぶれの心配や室(むろ)での乾燥が必要になるので、多くは持帰っての作業になります。

5.お仏壇修理の費用

次に、費用はどのくらいかかるものか見ていきましょう。金額はお仏壇の大きさと傷み具合や修理の有無などによって変わってきます。

部分修理

部位や修理内容で変わりますが、お障子の張り替え(4枚)15,000円前後、先の事例にあった膳引きの板面交換でも30,000円程です。扉のガタツキなど、ご自宅で修理が可能なら、多めにみても50,000円程で大概の修理が可能です。

洗浄・クリーニング

業者によって相場は違いますが、 小型のお仏壇で数万円~150,000円、中型のお仏壇で、150,000~250,000円、大型のお仏壇となれば300,000円以上といったイメージです。

完全修復

金仏壇の完全修復ともなると、大きさにもよりますが数十万円から百万円以上になります。

価格は傷みの程度や部分修理の有無や、要望で変わりますので、まずはお見積りを出してもらい、そのうえで検討してみるとよいでしょう。

 

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6.お仏壇修理のタイミングについて

例えば、扉を毎日開閉する方もいれば、常時開けたままにされる方もおられます。

仏壇が置いてある環境(日当たりや湿気など)によって汚れや痛みは異なってきます。

お仏壇を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

ここでは、どのくらいの期間で修理を考え、また、なにを目安にしたらよいかをご紹介します。

購入後10~20年程の経過で、部分修理や洗浄(クリーニング)を

お仏壇は、ろうそくを灯したり、お水を備えたりしているうちに、ホコリや煤(スス)、手垢などで少しずつ汚れていきます。

普段から小まめにお掃除をしていれば、購入後10~20年くらい経っても見た目上は比較的きれいな状態と言えるでしょう。

しかし、煤(スス)汚れや金具のサビ、手垢や小さな傷などは、通常のお手入れではきれいにならないこともあります。

こうした汚れやキズの修復のため、購入後10年くらいから、気になる処の部分修理や洗浄・クリーニングを検討するとよいでしょう。

購入後20~30年程の経過で、洗浄・クリーニングを

多くのお仏壇は木製なので、購入後20~30年くらい経つと、扉が歪んで閉めにくくなってきたり、金具がさびたりするなど、傷みが見られ始めます。小さな傷も全体的に増えていき、お仏壇の様々なところで劣化が始まっていきます。

特に日当たりがよい明るい部屋の場合、唐木仏壇なら塗装はくすみ、色あせが進んでいきます。金仏壇なら漆も汚れやくすみが感じられるようになります。このくらいのタイミングで、気になるところは修理をし、洗浄・クリーニングをして全体に手入れをしておくとよいでしょう。

購入後30年以上の経過で、完全修復(お洗濯)も視野に

購入から30年以上経つと、お仏壇の各部の劣化もだいぶ進んでいきます。特に唐木仏壇は、塗装がくすみ、稀に板に割れや反りが見られることもあります。また、金仏壇は30年以上経過すると、環境によっては擦ったり触ったりしないところでも、金箔や漆に傷みが出てきます。

特に金仏壇ではこのタイミングで、完全修復(お洗濯)も検討した方がよいでしょう。

オーバーホールすることで、お仏壇は再び新品の時のような輝きを取り戻してくれます。

7.お仏壇の傷みを見つけるポイント

お仏壇を長持ちさせるために、定期的なメンテナンスはもちろん、普段からなにげなく気を配りたいものです。

ここでは、どんな傷み方をするのか、購入後20年前後のお仏壇を例にご紹介します。

くすみや、色があせていないか

多くの場合、お仏壇はお部屋に安置されていますので、日が直接当たらないとしても、紫外線などの影響で少しずつダメージを蓄積していきます。

金仏壇の金箔は徐々に輝きを失っていきますし、漆や塗装も色あせや透明感も少しずつ失われ、全体的にくすみが見られていきます。

唐木仏壇も同様で塗装にくすみや、色あせが見られることが多々あります。

杢目が印刷の比較的安価な仏壇ですと、色あせ以上に変色や張り合わせた部分が浮き上がる様なこともあります。

購入した当初の写真などがあれば、見比べてみてください。

歪みが出ていないか

日当たりや湿気の影響で、板や柱に反りが出て、建付けが悪くなるなどの歪みが生じます。三方開きの扉などは、構造上どうしてもガタツキがでたりします。なかには、永い年月の線香とろうそくの熱で、欄間下の部分が焦げる事があります。

金箔や漆に剥がれや割れがないか

金仏壇に使われている金箔や漆について、特に金箔は、触れたり擦ったりすることで剥げてしまうことがあります。また、金箔や漆は購入後20~30年くらい経つと環境などにもよりますが、触れたりしたことが無い部分でも、劣化して剝がれることがあります。

ネズミや害虫などによる汚れ

お供え物を目当てに寄ってくるネズミのかじり跡や、ゴキブリが卵を産み付けたり、糞が山になったりしている事があります。このようなかじり跡やゴキブリの糞がある場合は、かじり跡の整形や糞の処理と消毒も業者に相談したいものです。

8.お仏壇修理の注意点

御本尊と御位牌はご自宅に安置

お仏壇を修理や修復に出す際、御本尊や御位牌に、特段不都合がなければ、基本的にはお仏壇だけを業者に出すことになります。

家の建替え中の仮住まいなどで安置しにくい場合などは、預かってもらえる業者もありますので、ご相談されると良いでしょう。

修理期間中、残された御本尊や御位牌はご自宅に置いて、失礼がないように、次の様にされることがおすすめです。

1つ目は、それまでお仏壇に合った場所にそのまま置くことです。これなら、引き続き毎日手を合わせることができます。

2つ目が、菩提寺に預かってもらうことです。

9.まとめ

日本は四季があり、年間を通して寒暖差があり湿度も大きく変化します。

そして、御仏壇は日々お参りされ火を灯す線香やろうそくで、少しずつ煤(スス)が積り熱で劣化が進みます。また、お供えするお水やご飯などで汚れて傷んでまいります。こまめにお掃除をしていたとしても、購入からある程度年数が経ったら、部分修理や洗浄・クリーニングを検討した方がよいでしょう。

修理箇所が少ない場合や簡易な修理は、出張修理で簡単に済んでしまうこともあります。

購入から30年以上経ったら、唐木仏壇も金仏壇も洗浄・クリーニングがおすすめです。傷みが酷く予算に余裕があれば、全面修復を検討してください。いずれも新品の時のような輝きや重厚感を取り戻せます。お仏壇は、メンテナンスし続けることで、代々伝えていけるものです。定期的に修理をすることで、お仏壇の深い味わいや伝えてきた人々の思いを含めて、大切なお仏壇をぜひ後世にも伝えていってください。

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